それから一週間後…
「気分はどう?」
ベッドの傍にいるグロリアが話しかけて来た。
「腕の方はまだ痛いけど、気分は大体落ち着いたかしら?」
病室のベッドに横たわっているマルセル。
右腕と頭には包帯が巻かれていた。
切り落とされた右片腕は接合手術と魔術で無事につながったのだ。
「姉さんはしばらく、入院してもらう事になるわね」
「そうね」
「今まで、金食い人形に散々振り回された事だし…
しばらくは、ゆっくりと体を休めるとイイわ」
こう言いながら、グロリアは買ってきた花を部屋備え付けの花瓶に刺し、水を入れてベッド傍の台の上に置いた。
クルスタル・アンジェラと言う癒しの美しい花である。
「エルファは?」
「魔界警察に逮捕されて、オッパイ好きのおチビちゃんと一緒に向こうの国へ連れて行かれたわ」
「っそ」
「ところで姉さん、エルファとオッパイ好きのおチビちゃんが馬鹿踊りしてたけど?」
マルセルは笑みを見せながら答える。
「頭来たから、私が魔術を掛けたのよ」
グロリアは思わず、首を傾げた。
「ちょっと待って! 姉さんはブルーレッド師範に魔術を取り上げられたから、パワーは出ないハズよ」
マルセルは自分の掌をなめ回すように見つめながら言う。
「そうでしょう?
それなのにネェ、パワーが出たのよネェ。
不思議だわ。ところで、残った子供たちはどうなったのかしら?」
「人形工房に返したから」
「まあ、返しちゃったの?」
「そうしないと、母親はいないんだし…あのコたちだけじゃあ生活出来ないでしょう?」
「それもそうだけど…」
「姉さんは、どうするつもりだったの?」
「私が直接、キチンとした躾をしようと思っていたのよ」
「もうイイんじゃないの人形たちの面倒は?
姉さんは今まで十分にやって来たんだし、後は里親に引き取ってもらったらイイわ」
「可愛い子供たちだったけど…」