徹「なんで、こんなデカイ鞄にしたんだ!」
そう言いならが乱暴に鞄をトランクへ押し込んだ。
真理「ちょっと〜、そんなに乱暴に扱わないでよ。」
真理は不機嫌な口調で言った。
徹「なに言ってんだ。早くしなきゃ二人共ずぶ濡れになるだろ。」
徹は怒った口調で答えたが既に二人共ずぶ濡れだった。
丈 は光駅まで戻って来た。
いつもなら夕方には閉まっている小さな宝くじ売り場が今日は開いていた。
その小さな宝くじ売り場の明かりが、やけに今日は輝いて見えた。
周りが暗いからなのかもしれないが 丈 は気になって宝くじ売り場に向かった。
宝くじ売り場の おばあさん「なんだい、買うのかい?今、閉めようと思ってたんだけど。」
丈「そうですよね。いつもなら閉まってるから。」
宝くじ売り場の おばあさん「買うなら早くしておくれ。」
丈「か、買います。えっと…」
宝くじ売り場の おばあさん「なんだい、なんだい。決まってないのかい?じゃ〜これにしな。」
おばあさんは勝手に決めて 丈 に渡した。
丈「あっ、はい、どうも」
丈 は慌てて、お金を払った。
おばあさんから宝くじを受け取り財布にしまっていると一人の女性が目に入ってきた。
その女性は空をジっと見つめ立っていた。
突然の雨で傘がないので帰れず雨が止むのを待っているように見えた。
しばらくすると女性は大粒の雨の中を歩き始めた。
丈 は女性に駆け寄り腕を掴んだ。
女性はビックリして 丈 を見た。
丈 は自分が持っていた傘を何も言わずに女性に渡すと、その場を走り去った。
女性は暫く目で追っていたが、手に持たされた傘に気がつき状況が、やっと把握できた。
女性は嬉しそうに傘を広げて、ゆっくり歩き出した。
つづく