「俺はカイル。この海賊船の船長だ。お前の強さを見込んで、この海賊団に入ってほしい!」
突然告げられ、フウリは目を白黒させた。
「つっ…強さ!?」
言葉が頭の中で整理のつかないまま、口を開いていた。
なぜこいつが私の力を知っている!?
「そうだ。お前の強さだ。剣を向ける敵に叩き込んだ回し蹴り!!あんな身のこなしができんのは、強い奴しか無理だ!」
回し蹴り!?全く覚えが無い。とすると…寝ている間に無意識で!?
それに、海賊団に入ってほしいって。
どういう展開だ、コレ。
「イヤって言ったら?」
静かに、しかしハッキリとフウリは言った。
カイルはニヤリと笑って言った。
「ここは海のド真ん中だぞ。逃げられる訳ないだろ。」
「あんたを血祭りに上げて、船を乗っ取るくらい簡単だ!」
フウリはそう叫ぶと、大きく息を吸い込み、手足を縛る縄にふきつけた。
風は刃のように縄を切り刻み、フウリの体を自由にした。
スッと立ち上がり、フウリは片手を前に突きだし、「鬼道丸!」と叫んだ。突きだした手の前に黒い空間が広がり、頭に角の生えた少年が飛び出してきた。
「鬼道丸、あいつ血祭りに上げて。」
「了解、姫様。」
「お前、鬼使いか!?」
驚くカイルに鬼道丸が飛びかかった。