特別な能力にはそれ相応のリスクがある。
決して特別に過信してはならない。
それを無くした時には何も残らないから…
尚人は心が読める。
何故かと言われればわからないし、何時からかと言われれば物心つく頃には心が読めた。
いや、正しく言えば心の声が聞こえた。人と話をする度、必ず相手の考えていることが心の声となって尚人の脳に響いた。
「尚人君、おはよう!今日から同じクラスだね!よろしく!」
クラスの女子が尚人に話し掛けてきた。
「ああ、おはよう。こちらこそよろしく!」
尚人は読んでいた本を閉じ、女子に優しく微笑んだ。
「うん。じゃあまたね。」
(やったあ!尚人君と話しちゃった!)
そして女子は自分の席に向かった。尚人は女子の言葉と共に心の声が聞こえていたがまた本を読み始めた。
尚人は長身でスタイルも良く整った顔、キリッとした目、違和感のない短髪から女子に人気だった。勿論、誰かに聞かされたわけではない。人の心を読んで知っていた。
高校ニ年の春。クラス替えをしてクラスは賑やかな空気を漂わせていた。
そして尚人はこの日ある初めての経験をした。