「あ、その本。面白いよな!俺も読んだことあるよ。」
(……)
不意に声をかけられてハッとする尚人。
「えっ、ああうん。面白いよ。」
尚人は声をかけられた男子をよく見た。自分ほど身長は高くはないがスタイルが良く、なんとなく優しい雰囲気があって好感が持てそうだ。
「あ、俺は大地って言うんだ。よろしくな!」
(……)
大地はニコっと尚人に笑いかけた。
「ああ、よろしく…。」
そこで尚人は違和感に気付いた。
こいつの心の心が聞こえない…。
そんなことは今まで一度もなかった。尚人は戸惑った。
「あ…そ、そうだ。俺は尚人。席、隣だな!」
「おう。お隣り同士仲良くやろうや!」
(……)
やはり心が読めない。調子が悪いのか?いや、こんなこと一度もなかった。何者だこいつは…。
尚人は初めての経験に戸惑いを感じつつ、心が読めないという新鮮な出来事に若干の嬉しさも感じていた。
大地は明るく、誰にでも優しい男子だった。そんな大地と尚人は少しずつ仲良くなっていた。