心の声が聞こえない大地はまさに未知の人だった。何を考えているかわからない。
大地以外の人は相変わらず心が読める。だからその人に対してどういう対応をとればいいかわかった。しかし大地はそうはいかない。それが大変であり楽しくもあった。
そんなある日、大地が珍しく学校を休んだ。
「…………ということだ大地。信じるよな?神がそうおっしゃったんだ。」
ある密室で男が大地に話していた。神妙な顔で大地は頷く。
「…はい。わかりました。俺でいいなら喜んで引き受けましょう。」
男はニヤリと微笑んだ。
「よし!では計画は三日後に実行だ。」
「…はい。」
四日後
尚人は大地が心配になって大地の家まで来ていた。
大地は一人暮らしだった。両親はいない。身寄りもいない。と、尚人は聞いていた。インターホンを鳴らす。数回鳴らした後大地が玄関のドアを開けた。
「……ああ。尚人か。」
尚人は一目で大地の異変に気付いた。髪はボサボサで目にはくま、少し痩せたような気もする。
「だ、大丈夫か?大地。最近学校にこないからさ。」
尚人は心配そうに尋ねた。大地は言った。
「大丈夫じゃないよ。なんて言ったって神を殺したんだから。」