お母さんの記憶は戻らないって医者とお父さんが言ってた。
それからあたしは、1人で暮らしているおばあちゃんの家に住むことになった。
"愛美も辛いだろうから"だって。
あたしにとって、お母さんと離れる事が一番辛いのに。
それでもあたしは何も言わずにおばあちゃんの家に行った。
おばあちゃんはあたしを見た後、"辛かったね"って抱き締めてくれた。
温かくて涙が出た。
その時、あたしは泣くという行為を思い出した。
赤ちゃんの様におばあちゃんの腕の中で泣いた。
おばあちゃんはあたしに優しくしてくれた。
凄く優しくて温かい人だった。
あたしはおばあちゃんの家から学校に通った。
お父さんは毎日の様に会いに来てくれたからあまり寂しいとは思わなかった。