にゃんこの神様(後)

矢口 沙緒  2010-03-07投稿
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真っ白で、どこまでも広い空間に、たくさんの猫がいた。
何百匹、いや何千匹もいるのかもしれない。
その猫達がドーナッツ状に集まっていて、そして全部の猫がその中心に向かい、ちょこんと座っていた。
猫達が見詰める中心には、椅子に座った一人の男がいた。
かなりがっしりとした体つきで、長い金髪の巻き髪に、やはり金髪の豊かな髭を生やした男で、白いベールのような物に身を包んでいた。
やがて猫達の輪の中から、一匹の猫がちょこちょこと男の前に歩み寄っていった。
ビチ丸だった。
男は手でビチ丸を抱き上げると、その膝の上にそっと置いた。
ビチ丸は膝の上に座り、男を見上げていた。
男がその手でビチ丸の顔を覆った。
そして男が手をどけると、あれだけびちゃびちゃで目ヤニだらけだったビチ丸の目が、綺麗に治っていた。
男がビチ丸の頭を優しく撫でると、ビチ丸は嬉しそうにゴロゴロといった。
そこで私は初めて理解した。
ここにいる猫達は、きっと今日死んだ世界中の猫達なのだと。
そしてこの男は、猫の神様なのだと。
そこで私は目が覚めた。



私は神様を信じない。
すべての宗教や神仏を信じない。
私は完全な無神論者だ。


でも、猫の神様だけは信じたい。

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