荻窪のラーメン屋
「ズズッ 権ちゃん、思い出したか?例のフレーズ」
「あぁ、ウェイライグアンね。駄目だ、思い出せない。ズズッ …そんな事より牛ちゃん俺な、ちょっとヤバい方向へ向かってる気がするんだ」
「何だよ」
「今週末ネオさんとプライベートで会う約束をした」
「ングッ!ゲホッゲホッ!…何だよそれ!どういう事?」
「あぁ、ちょっと話の流れからそういう事になっちまった」
「そりゃヤバいでしょ〜、公私混同だよ〜。そんなのバレたら大変な事になっちゃうぜ。…おいおい、まさか本気で彼女に惚れちまったんじゃないだろうな」
「そうじゃない…とは思いたいんだが、顔を真っ赤にしながら必死でカラオケを歌ってる彼女を見てたら、何だかとても愛おしく思えてきちゃってな」
「やめて下さいよー総理。一国の総理大臣と秘密結社の女指導者との悲劇的な恋…なんて、三流小説じゃないんだからさー」
「それにな、彼女の計画…本来ならば、好きな人が危ない目に遭うかもしれない事だったら止めさせるべきなんだろうけど、俺は逆に後押ししたい…彼女の志を成就させてあげたい気持ちになってるんだ」
「あ〜あ、ホントに恋しちまいやがった」
「だから日本政府としては、計画を阻止するのではなく、中国には秘密裏に水面下で彼女達のバックアップをしてあげる方向に方針を変えたいと思う。勿論、平和的に独立が成功出来る様な策を講じて、という前提にはなるがな」
「権ちゃん、その話、当面の間は俺と権ちゃんだけの間の話にしておこう。そんな事閣議でなんか話したら、下手したら総理の椅子が吹っ飛んじまう結果にも成り兼ねないぜ。第一、軍の連中が黙っちゃいないはずだ」
「…そうか、分かったよ」
「さーてと…」
「最初はグー、ジャンケンポン!」
「…」
「ご馳走様、牛ちゃん」