予告ホームラン【2】(全4話)

 2010-03-08投稿
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Aは打席に入るなり、バックスクリーン方向に向かってバットを高々と掲げ、予告ホームランの合図をした。

盛り上がるスタジアム。

熱くなる相手投手。

ピッチャーは間髪与えずに、Aに対して剛球を投げ込んだ。

――ストライク。

Aは手も足も出ない。

立て続けに2ストライクに追い込まれ、相手投手が3球目を投げ込むと、Aのバットが空を切った。

結果は三球三振。

その後も相手投手の球は唸りを上げ、快投が続いた。

ついに最終回になった。

ここまで相手投手からは無得点に抑えられ、敗色濃厚だった。

A自身も3打席3三振に抑え込まれていた。

相変わらずAは予告ホームランの合図を続けている。

もはやこの光景は、球場中の失笑を買っていた。

完投目前の相手投手は、微かに笑みを浮かべた後、矢のような球をAに対して投げ込む。

その球は、Aの顔面に目掛けて真っ直ぐ進み、避けたAのヘルメットに直撃した。

その場に倒れ込むA。

しんと静まり返るスタジアム。

両チーム各選手、アンパイアがAの元に心配そうに集まる。

急いで担架の準備が始まった。

そして担架がホームプレートに運び込まれた時、どこからか声が聞こえた。

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