「え…と…」
ザックは困惑したような顔で、言葉を濁した。
「どうした?」
「実はその…村に剣を使える人が一人もいなくて素振りばかりやってたんで、腕とかはよくわからないんです…」
「…お前、よくそんなので賞金稼ぎになろうとしたなあ」
ダリルは呆れてため息を吐いた。
「まあいいや。後で俺自身が確かめてやるよ」
「ダリル、勢い余って斬り殺したりしないで下さいね」
「するか!…次は俺がいくぞ。名前はダリル・リゲル。一応農家をやっている。以上だ」
「農家なんですか?」
ザックは意外そうな顔で、ダリルを見た。
「意外か?」
「…いや、なんか、農家をやっている姿が想像できないというか…木こりみたいで…」
「まあ、この体じゃあねぇ。木こりに見えても仕方ないわよ」
ミーナはダリルの肩を叩いて小さく笑った。
「悪いかよ」
ダリルは不機嫌そうな顔になって、ぷい、とミーナから目を逸らした。
「いやいや、悪くないわよ。この体のお陰で私たちは力仕事に苦労しなくていいんだから」
ミーナは筋骨隆々なダリルの腕を撫でた。
「…ったく…調子のいい奴だ…」
ダリルは苦笑して、頭を掻いた。
「じゃあ次は私ですね。名前はエナン・ホーリー。ダリルと同じく農家出身ですが、主に頭脳労働担当です。よろしく」
銀縁眼鏡を光らせながら、エナンは自己紹介をした。
「農家出身で頭脳労働…合わねえよなあ」
ダリルはニヤリと笑って、エナンを指差した。
「天候を読み、土を選び、発芽までの期間を計算する。農業は頭脳労働でもあるんですよ、ダリル」
「…なるほど」
「…ダリル…」