番外編 スカバンburn!! 父さんの“愛の歌”(3/4)

きゃしー  2010-03-09投稿
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下に着ていたTシャツのまま、借りた漫画を読みかけ手を止めた。なんとなく美弥の隣に座って作業を眺める。

俺は今、父さんと小3の弟の3人暮らし。

父さんのギターに負けた母さんは弟の彰が生まれてすぐ、死んだ。

これでも料理はまあできるようになって洗濯なんかも手慣れてる。それでもやっぱり苦手なこともいっぱいあって、器用で世話好きな美弥に何度も助けられている。

「できた!」


手早く作業を終わらせた美弥からシャツを受け取り礼を言うと、俺の足が何かに当たった気がした

「ん?何これ?」

俺が手にしたのは高校のパンフレットだった。

「んー西高のパンフ」

裁縫道具をしまいながら面倒くさそうに答える美弥。

西高といえば俺の学力じゃ到底届かない場所にある。

「西高…行くん?」

「…うん。そのつもり」

美弥は俺に背を向けたまま振りかえろうとしない

「…だから、やっと別々やな。あんたじゃ到底西高なんて無理やもんねえ。」

「……」

俺は黙ってパンフをパラパラめくる。


毎朝、決まった時間になるチャイム。ドアを開けて謝る俺。怒りながらも待っててくれている美弥。


そんな当たり前が、なくなってしまう



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