次の日から、俺の戦いが始まった
早朝に目覚めると、朝食を作り、その後は机に向かう。始めはちょっと寝ちゃったけど、だんだん慣れて集中できるようになった。
毎朝すぐに姿を見せるようになった俺を美弥は不思議そうに見ていた。
学校では昼休みのバスケもやめて勉強。帰ったらすぐ勉強。家事とギターがあるから塾は行けない。だからその分、必死にやった。
そして――
俺は合格を手にした。
以前より早い時間に鳴ったチャイム。時間は変わったけどそこにいるのは美弥
「何でまた一緒やねん。追いかけてきやがって」
「ちゃうわ!ほんまは俺も頭良かったの!」
昔、父さんは大好きだった母さんを振り向かそうと必死だった。それでも素直にならない母さん。そんな母さんが負けたのが、あのギター。
父さんはあのギターで何度も想いを伝えようと歌を歌ったという。
俺は母さんに似たらしい。父さんみたいに素直に気持ちは伝えられない。でも、あんな必死に勉強した俺は、やっぱり父さん似かもしれない。
俺の目標はギターが自慢と言えるくらい上手くなること。
いつか大事な人に“愛の歌”を精一杯歌うために。
でもまだ今は、美弥に嘘をつく俺がいる