イカヅチのような…
まるでイカヅチのような自分…。
総合病院で高度な医療器具に囲まれたまま何気に見つめた灰色のイカヅチではない。
むしろ医療なぞ未発達の原野に担ぎこまれた負傷した兵士の横に、生きる希望を与えようか与えまいか考えこむチッポケなドクターがともすると黄金でできた延べ棒を有り得ないくらいに崇拝するかのような、それしかないのだと自信するような部屋の中に居候しているイカヅチだ。
それが身体の一部…
爪のようなものになっている…。
食後の飽和した、それでいて憂鬱な気分に似た脳で考えていたように、また思い至った…。
切ろう…。
切る。切る。KILL?
ふいに笑みが嘲笑いたかった。
しかし…、その嘲笑いこそが自分が生きているのだという評価…。
相手の息が臭かろうと、用を足したいだけだろうと、はたまた明日の糧を与えてくれようと、為すがままに漂いついた果てが今確実に18時14分の自分の存在を認めてくれさえすればよかった…。
何故か…
右手だけ汗が滲む。
粘着質な存在が一体になろうと迫る。
右手だけに身体が移動したかのような湿り気…。
………怖い。