あれから隼人はダルい身体で自宅へ帰った。何日もろくに食事せず、最近は睡眠すら出来なくなっている。今はだいぶ落ち着きを取り戻し部屋のベットに寝っころがり焦点が合いづらい目でテレビを見ていた。
たまに母親が心配そうに話しかけるが、聞いている様子すらない。
―速報です、今日午後4時頃〇〇県〇〇区でまた何者かによって切断された遺体が発見されました…―\r
そういえば今日学校で放送されてた事件ってこのことだったのか……
まさにこの時隼人の心臓が大きく脈を打った。
やっぱりリリィ、この事件に関わってるんじゃ…いや、そんなはずはない。そうだろ…?
隼人は自分に言い聞かせるように言う度になぜか心臓の脈が速く、大きく波打って動いていた。
日もすっかり落ち、また例の公園へ足を運ぶ。
しかしいくら待っても彼女が来る様子はない。
「…そんな…今日逢うって約束したじゃないか…!」
湧き出てくる不安が隼人の息を荒くさせ、またあの香り欲しさに苛立ちが止まらなくなる。
もうリリィは俺が匂い無しで生きていけない事知ってるくせに…
隼人はリリィを求め、公園から出て道を歩き出す。
目が虚ろになる、鼻も効いているのかさえ判らない。
もう幾ら歩いただろう…人気のない道を歩き続け、辺りは隼人の知らない風景が広がっていた。
近くで最終電車の走る音がする。
建物もいつ建てられたのか判らない古い雑居ビルが立ち並ぶ。
当然の如く、深夜に人なんているはずがなかった。
呆然と立ち尽くす隼人
「リリィ…」
今にも倒れそうになっていた
その時、何処からか風にのってリリィのあの香りが漂ってきた。
―リリィ…?
ふらふらとしながらも必死にその香りの強い方向へ歩き出した。
「リリィ?どこなんだ、どこにいるんだ、お願いだから返事をしてくれ!!」
空に向かって吠えていたためか、隼人は何かにつまづいて転んでしまった。
「…!?なんだ?」
目を凝らして見るとそこにはバラバラになった男性の死体が散乱していた。
「――………!?」
隼人は一瞬頭の中かが白くなった。しかし直ぐに目が覚めた。
「…なんで君がここに…」
目線の先には薄く微笑むリリィの姿だった
―続く―