「カメラと陶芸?変わった趣味やな。華道や茶道、園芸・乗馬・料理何でもあるのに…カメラとかってキッカケなんや?」
首を傾げ、白藍が訊くと朱斐は少し照れながら言った。
「うん…あの聖夜が…私の付き人がね、たまに私を遊びに連れて行ってくれるの。聖夜の恋人と三人で遊んでたら、聖夜が使い捨てカメラ買ってくれて、私初めて写真撮ったの。自分の好きな風景・人間…」
「そっか…」
「陶芸はね…聖夜の恋人サンがね得意で教えてもらったの!初めて自分で作った陶器を二人が使ってくれるの見て、とても嬉しかった。だから…」
「うん、せやな…自分の為やなくて…他の者が喜ぶ趣味はエエ趣味や♪」
白藍が笑顔で言い、朱斐の趣味を良いなと誉める。
「……分かって…くれるの?」
「?何が…」
「──……やっぱり…お嬢様がそんなもの…って思うのが普通。私の父が知ったら…そう言う」
朱斐はうつ向き、顔を曇らせ、哀しそうにしている。
「──……俺はな…どんな人間も人間だと思うんや」
「?」
朱斐が意味が分からないという顔で白藍を見上げる。
白藍は苦笑しながら言葉を紡ぐ。
「つまりや…朱斐も俺も他の者も…同じ人間って事。だから朱斐の趣味は普通…」
「……そ…うかな?変…変わった人間じゃないかな?」
「──……朱斐は変じゃなくて、自分を知っとるだけや。陶芸が楽しい、写真撮るのが好き……それは朱斐が朱斐である証。無個性やなくて、ちゃんとしたモノを持っとる証拠だと…俺は思う」
「あり…がとう。白藍…」
白藍がニコッと笑うと、朱斐の頭をなでた。
朱斐は、頭をなでられ一瞬ドキッと胸が高鳴り動揺した。
優しい白藍の言葉と笑顔に心暖まり、顔を赤らめながら笑みを溢す。
「──……白藍は…私の心を分かってくれる。だから……安心する」
「そうか?そう思ってくれるんなら嬉しいな。……早く朱斐の心ん中に入れるとエエけどな。まぁ…好きな奴がおる朱斐には迷惑だと思うけどな」
「そ……──!」
朱斐は、自分が言い掛けた言葉に、ハッと驚き、手で口を押さえ塞ぎ、言葉を飲み込んだ。
「?朱斐…」
「……なん…でもない」
つい
口から出そうになった。
そんな事無い
と言う言葉が…
私は
黒峯が好きなのに…