海斗の姿をみても花音の心は、動かなかった。
それは、花音にとって、終わりと始まりを意味していた。
花音が外に気をとられていると、「花音ちゃん。いたんだ。」
五十嵐が声をかけて来た。後から席をたった女性が五十嵐の側に来ると花音達に軽く会釈をし、会計に向かった。
「あっ、君。沙希ちゃんでしょ。花音ちゃんの友達の!五十嵐椋です。よろしくね。」
沙希は、「あっ、ハイ?!」五十嵐の軽い挨拶に呆気にとられていた。
花音は、唐突に「彼女ですか?」と聞いた。
言ったそばから言った言葉を引っ込めたい気持ちだった。
「ハハハ。花音ちゃん?気になるの?ねぇ、気になる?やっぱり、俺に惚れちゃった?」と軽く流しながら「違うよ。彼女、大学で同じゼミなんだ。ここんところ忙しくて、あんまり大学行ってなかったから、ノートをね…。」
花音は、ゆいちゃんの事で色々と大変だった事を知っていたのにくだらない事を聴いてしまった事を後悔した。
でも…ホッとしていた。
「じゃあね。花音ちゃん。また、遊びに来てよ。たまり場!」と言いながら、店を出て行った。
「ねぇ、花音!誰?!あの、ホストみたいな人!」花音は、自分と同じ第一印象だった沙希の言葉が可笑しくて笑いが止まらなかった。
沙希は、首を傾げた。
その後、花音は、何時間も沙希の質問攻めにあうはめになった。
花音は、前向きにまたたまり場に行ってみようという気持ちになれた。
そして、五十嵐の事を好きだという気持ちに正直になろうと思った。
花音は、家に帰ると海斗に電話をした。
以前の自分なら、自分から別れの言葉を口にしなかっただろうと思った。「海斗、ごめん。ちゃんと会って言わなきゃいけない事なんだけど。別れたいの!好きな人が…。これからどうなるか分からないけど、自分の気持ちにけじめつけたくて…。」
花音は、正直に自分の気持を伝えた。
「そうか…。」
そういうと続けて海斗も正直に答えてた。
一緒に歩いていた彼女とが好きだと…。
二人の終わりは、たった一本の電話で終わった。呆気ないものだったが、花音は、海斗と友達になれる予感がした。
「花音!いい?ちょっと話があるの」母親が呼んだ。
「(あっ、そうだった。!)」花音は、落ち着いたら話を聞く事になっていた事を思い出した。
リビングに行くと母親は、真剣な眼差しで花音見つめた。