「お待たせ」
「あっ!お久しぶりです。…ごめんなさい。時間作ってもらって…。せっかく知りあえたし、お会いしたいなあって思ってたんで」
「それは、俺もだよ。貴重な時間をありがとう。」
「こちらこそ」
2人は、お互いに感謝した。
だが、しばらく言葉が、お互いに出てこない。
やっと、かすみが切り出した。
「どこか、ファミレスで、お食事でもしましょうか?堅苦しいの苦手なんで。……それでいいですか?」
「全然。てゆうか、いいの?」
「はい。私、あまり高級そうなところが、だめなんです。いろいろとあったんで…」
「いろいろ?」
「…」
かすみの表情を見て、哲彦は質問するのをやめた。
「ごめん…なんか悪いこと聞いたみたいだね…」
「いえ…すみません。…行きましょうか?」
「そうだね…」
ひとまず、2人はファミレスに行くことにした。
…その頃、義人と剛夫は、2人が定期的に利用するファミレスで、9月の旅行について話をしていた。
「お疲れ。悪いなあ。仕事帰りに」
「いや、お互い様でしょ。特に行くところないんだから」
「…まあな。俺の休みの日なんて、ジムトレくらいだもん。老化防止のためだけど(笑)」
2人のいつもの会話が一段落した後、義人が、剛夫に質問した。
「…で、どうなのよ?9月の旅行の件は」
「なんとかなりそうだよ。ずいぶん前から交渉してたし」
「そりゃ良かったよ。3人揃ってこそ意味があるからな」
「本当は4人だったんだけどな…」
「その話は…やめようぜ。これから先も」
…剛夫の何気ない一言だったが、義人が遮った。
3人には、もう長い付き合いになる仲間がいたが、亀裂が生じてしまい、3人には、トラウマになっていた。
「なあ、剛ちゃんよ。もうこれ以上、つまらない思いもしたくないし、いろんな意味で、出会いは大切にしないとな」
義人は、しみじみと言った。
「…そうだな。もう、あんな思いはしたくないしな」
「そのためにも、9月は、第一歩だよ」
「ああ…」