怨念 完

森田  2006-08-21投稿
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明人『………』


明人は怖いくらいに無機質な表情。


洋平『路地裏でね…貴方が殺していたのを見てたんですよ』


明人『ほぉ…』


洋平『首はどこだ!と連呼していた。貴方しかいない』


俺はこの男を探していたのだ。


明人『私を殺すのなら、喜んでその手にかかろう』


あんたを殺す気なんてないさ…あんたはあまりにも気の毒な人。


明人『だが…私が奴を殺してからにしてくれないか?』


断る権利は俺にはなかった。


洋平『…あぁ』


俺は明人に奴の根城にしている場所を教えた。


明人『もしかしたら僕は戻ってこないかもしれない』


『僕』…か。


洋平『そんときは諦めるさ』


俺は知ってしまったから、復讐がどれほど愚かで悲しいことか。


明人はもう戻ってはこないだろう。


久典への怨念が無くなれば彼は自害するに違いない。


それは気の毒な復讐。

それに気付かせてくれた明人を


俺は一生忘れない。






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