明人『………』
明人は怖いくらいに無機質な表情。
洋平『路地裏でね…貴方が殺していたのを見てたんですよ』
明人『ほぉ…』
洋平『首はどこだ!と連呼していた。貴方しかいない』
俺はこの男を探していたのだ。
明人『私を殺すのなら、喜んでその手にかかろう』
あんたを殺す気なんてないさ…あんたはあまりにも気の毒な人。
明人『だが…私が奴を殺してからにしてくれないか?』
断る権利は俺にはなかった。
洋平『…あぁ』
俺は明人に奴の根城にしている場所を教えた。
明人『もしかしたら僕は戻ってこないかもしれない』
『僕』…か。
洋平『そんときは諦めるさ』
俺は知ってしまったから、復讐がどれほど愚かで悲しいことか。
明人はもう戻ってはこないだろう。
久典への怨念が無くなれば彼は自害するに違いない。
それは気の毒な復讐。
それに気付かせてくれた明人を
俺は一生忘れない。
完