Invisible Answerer -ep18-

へたれもち  2010-03-11投稿
閲覧数[705] 良い投票[0] 悪い投票[0]

この少年は推定する年齢
からは考えられない程の
判断力だ。

おそらく、その判断力は
経験と身体能力から
成り立つ。

つまり、この少年は
幼少時から特別な訓練を
受けていたか…
あるいは…。

「新世代の子供達か。」

生まれながらに身体の
記憶を持ち、何かに特化
した子供達…

産まれる前に脳に直接
何かを記憶させて、
優れた子供を造る…。

しかし、それは有効性が
低く、非人道的だと非難
されて廃止になった…
はずだ。

「すまない、まだ名前を
名乗っていなかったな。
自分は上谷 勇理
(ウエヤ ユウリ)だ。」

あの顔立ち…あの時の
少年にそっくりだ…。
生きていれば同じ位の
年齢だろう。

あの時、瓦礫に変わった
街の中にただ一人で
血を浴びて立っていた。

衝撃的だった…顔色一つ
変えずに立って、
虚ろなに死体を見てた。

同じ人間には見えな
かった…いや、人間の皮
を被った悪魔だと…。

逃げた…息が続く限り
逃げた、小学生位の少年
から逃げた。

本来なら保護するべき
なのだろう…だが、
得体の知れない恐怖を
五感全てに感じた。

だから逃げた…そして、
その恐怖に似たものを
今感じてる。

いや、一つだけ違う…
今は少しでも動けば、
状況は変わる。


「神崎 零です。」

一歩進む…飛び道具が
あれば、距離を保たれて
は厄介だ。

あの少女のように素人
なら当たらないが、
相手は軍事関係者の
可能性が高い。

「互いに警戒したまま
では、時間の無駄です…
敵意があるなら。」

状況を進ませるが、
ある事を思い出した。
一人じゃない…。

僕だけならこの選択肢は
間違いではなかった。

しかし、
この場合はできるだけ
戦闘は避けるべきだ。

「敵意はない…と
言っても信用はされない
だろうな。」

変わらない視線、
変わらない口調、
変わらない立ち方。

「信用します…
敵ではない事は…
敵ではない…
それだけですが。」

敵ではないが、それが
味方であるとは限らない
…決して味方ではない。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 へたれもち 」さんの小説

もっと見る

アドベンチャーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ