Invisible Answerer -ep19-

へたれもち  2010-03-11投稿
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「この先の武器は常識を
逸脱したような物しか
…僕の予想ですが。」

情報を提供した…
当然危険性は増すが、
それ以上にメリットが
あると考えた。

「例えば…暑さ10mの
クロムモリブデン鋼の板
数枚を瞬時に貫通する
ような火器か?」

上谷は明確に答えた。
この上に何があるのか
が解っている。

「そのような火器なら、
この建物の壁を破壊する
事が容易なのでは?」

首を横に振り、話を
続ける。

「経口が小さ過ぎるし、
弾の硬度が低い。
おまけに一発で壊れる
代物だ。」

「ねぇ…さっきから
何の話をしてるの?」

龍堂だけが取り残された
ような表情をしていた。

「上にある火器でこの
建物の壁に穴を開けて
脱出できないかです。」

「え?そんな火器が
この世に存在するの?」

「まだ試作ですが…
でも、ここに有るのでは
到底無理です。」

…間違いない、これは
試験運用だ、
新開発された兵器の。

つまり、さっきから徘徊
している機械人形も…
問題は黒幕だ。

「それよりも先に…。」

悪寒が走った、身体の
震えが止まらない、息が
乱れていく。

これは…怯えてる?
指先が冷たくなって、
髪先が浮かぶような。

この感覚はある一人に
しか感じなかった。

「逃げ…。」

逃走を促そうとしたが、
それより先に、少女が
叫んだ。

「貴方はぁぁああ!」

と大声で。


私の目に焼き付いた…
あの目が、あの髪が、
あの姿が…。

気付いたら叫んでいた。
かつて、私の父さんを
殺した男。

笑っていた、その表情は
『ピエロ』を連想させる
ようだった。

私は殺すために
走り出そうとしていた。

でも、
身体は前に進まない。

「駄目だ、犬死にする
だけだ。ここは僕が食い
止めるから逃げて!」

「零、離して!」

「上谷さん、龍堂さんを
連れて逃げて下さい!
できるだけ遠くに!」

身体が引きずられる。
暴れても自由がない、
感情だけが激しく
揺さ振られる。

私は思った…
逃げてればよかった。



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