「はぁ…はぁ…今のは…
一体何なの?」
数分前の事だった…。
零の指示で逃げた後、
私は落ち着くまで
休憩をしていた。
その間、上谷は
見回りをしていた。
落ち着いてからずっと
心配になっていた…零は
生きてるのか?
そんな事をずっと考えて
いた…。
そして、突然に事態が
変わった。
上谷が片腕を押さえて
戻って来たと同時に
叫んだ。
「逃げろ!出来る限り
早くだ!」
訳も解らずに逃げた。
異様な機械音が壁を
伝って聞こえる。
「一体何が来たの
ですか!?」
「後ろを見れば解る。」
私は言われたとおりに
後ろを見た。
四つの足が床、天井、
左右の壁を伝っている。
「四脚の新型だ、下の階
の奴らとは桁違いの
機動力だ。」
確かに安定していて、
移動が速かった。
「どうすれば…。」
息が…切れてきた。
「龍堂、先に逃げろ!
ここは俺が食い止める、
出来る限り遠くに。」
「何を言ってるの!
まともな武器がない
でしょう!?」
「生き残る確率を少し
でも多くするためにだ、
だから!」
「下がってください。」
え…この声は…。
四脚か…間合いに
踏み込むのか困難だ。
上手く盾で防ぎながら、
確実に一脚一脚破壊して
いかなければ…。
3…2…1…今だ。
俺は見ていた、明らかに
巨大な力を持つものに
恐れもなく立ち向かう
一人の少年を…
重心は螺旋を描くように
移動し、確実に間合いに
踏み込んでいる。
盾で防ぐ…と言うよりは
受け流してる。
そして、殺人兵器を
通り過ぎた…すると
一脚が大きな音を
起てて、床に落ちた。
そのまま、次々と脚を
破壊していく。
動力を破壊したのか、
兵器の動きが止まった。
そして、冷たい目で
こちらに向かってくる。
「左腕を怪我したみたい
ですね。ですが、無事で
なによりです。」
何が起きた?この数時間
の間に…十代の少年の
目ではない。
他にもあの動きに状況
把握…彼は主催者側の
人間なのでは?
だとすれば何の目的が…
いや、彼はあの時の少年
だとしたら?
「…君は一体何者なんだ
…答えてくれ…。」