「由宇(ゆう)君。今日は、一緒にいられる?」
「あぁ、大丈夫だよ」
「嬉しい!!」
彼女も彼の優しい抱擁に溺れていった。
俺の名前は、高山 由宇
(たかやま ゆう)ある大学の附属高校3年。
頭?悪くない。成績は、上から数えた方が早い。
ルックス?たぶん、いいのだろう。
女達は、それでムラがってくる。
俺は、女は好きだが、本気になる事は…ない。
俺の座右の銘「一期一会」女なんてそんなもんさ。
これから先も、ないだろう…
「おはよ!由宇。」「由宇君。おはよう!」「由宇先輩!おはようございます」由宇は、女の子達の声を流し、教室に入っていった。
「おぅ!由宇。お前、昨日みさきちゃんと約束してた?何だか、泣いてたぞ」
「あっ、そうだった。」由宇の親友の貴士は、由宇とは、真逆なタイプだ。
「お前、昨日は、誰といた?」
「バイト先の大学生の先輩。誘われたから…。」
「本当に、よく女がお前を嫌いにならないか不思議だよ」
「知らねぇよ。俺の見た目に興味があるんだろ」
そう言って、携帯を広げると、ため息をついた。「メール、25件か…。今日は、誰にしよう。」由宇は、冷めていた。
所詮、自分の外見にムラがっているだけで、中身を見てくれる女(ヤツ)なんていない。
ならば、それを楽しもうと思った。心がなくても…女は、寄ってくるもんだと思うようにしたのだ。
由宇のバイトは、イタリアレストランの厨房だったが…店長がどうしてもと…今は、ウェイター。おかげで女性客が増え、バイト代がUPした。
(カランカラ〜ン。)
「いらっしゃいませ。」入って来た客は、また、女だった。
「どうぞ。こちらがメニューになります。お決まりになりましたらお声をお掛け下さい。」
由宇は、営業スマイルで対応した。
「あの…、ゴルゴンゾーラのリゾットと白ワイン…。」由宇は、何だか、暗い客だなぁと思った。
「かしこまりました」
由宇が…ワインをつぐとその客は、一気に飲み干した。
「すみません。ボトルで頂けませんか?」
「あっ、ハイ」
彼女は、ワインを飲み干し、リゾットを口にすると、泣き出した。
それも、シクシクではなく…。わんわん声をだして泣いた。
由宇は、周りのお客の注目の的になっていたため、声をかけた。
「大丈夫ですか?」彼女は、すっと立って由宇を見つめた。
次の瞬間、由宇に衝撃が走った。