(バシッ!)
由宇の受けた衝撃は…容赦ないビンタだった。
「何だか、あんたの顔ムカつく!そうやって女を見下すなぁー。」といいながら、もう一発飛んできそうなのを由宇はすっと避けた。
彼女は、空振りと同時に椅子に座るとうつ向いて動かなかった。
由宇が恐々覗き込でみると…。
眠りについてしまっていた。
やれやれと振り返ると、由宇の方が注目を浴びていた。「…(コイツら絶対に勘違いしてる!)」
由宇は、店の奥に引っ込んだ。
「彼女、ちゃんと送ってよ!」店長も誤解している上に機嫌が悪くなっていた。
由宇は、面倒臭かったが、女に対しての変なプライドが邪魔をして送る事になった。
由宇は、彼女の後ろを歩いていた。彼女は、フラフラしながらも転ぶような歩き方ではなかった。
あるアパートの前で立ち止まったので、由宇は、着いたと思った。
「じゃ、俺帰ります」彼女の階段を上がる音を聞きながら歩き出した。
(ダダダダダァァ!)
「えっ!」
由宇が振り向くと彼女は、階段の下に座り込んでいた。
「ちぇっ、なんなんだよ、まったく」呟きながら、彼女に駆け寄った。
「大丈夫??」
彼女は頷き、階段を昇り始めた。由宇は、とりあえず、家の中に入るまでついていった。
「じゃあ」彼女が家の中に入ったのを見届けて帰った。
長い1日が終わった。
「おはよう!由宇。今日は、すっぽかさないでょ」
「おはよ!みさき。この前は、悪い。」そういうと由宇は、歩きながらみさきのおでこにキスをした。
ほんの挨拶だ。
(やっぱ、これが楽だ)由宇は、自分にムラがる女達があの事件を知ったらと思うと笑えた。
「どうしたの?」
「いや。別に。」
由宇は、笑いながら校舎へ向かった。
「由宇!早く行こう」授業が終わると同時にみさきは、由宇の教室に来ると由宇を連れ出した。
「由宇、靴買うの一緒に選んで!」
みさきが今日は、自分のモノだとばかりにベタ付きながら、校内を歩いていた。
「あっ。」由宇の視線の先には、あの事件の主人公が歩いていた。
(うちの附属の大学生かょ。)由宇は、彼女の膝の湿布を見て可笑しかった。
一方の彼女は、女連れの男ともめる雰囲気たっぷりだった。
(なるほど…。こういう事)
由宇は、コイツもルックスで選んだくちかと思った。
(今日もワイン空けるコースだったりして…。)と思いながら、三人を横目にみさきと学校を後にした。