心から祈る。───そんなものしたことはなかった。
カミサマに心からの祈りを捧げることも、誰かの為に心から祈ることも、そんな事など、一度もない
無論、自分自身への祈りも、したことなどない。
祈る為の手は、すっかり血に濡れてしまったから。
廊下を歩けば、皆チラチラと私を見る。
ある意味での有名人───というようなもの。でも、お世辞にもいい立場じゃないけれど。
世間で言う「リストカッター」「メンヘラー」とかに私は値するらしい。それを何故か、人々は軽蔑する。
そう、私は世間が「リストカッター」と呼ぶ存在。
理由は、今でもわからない。ただ、切りたくなった。だから切った。そういうことにしている
今は、夏だけど長袖を着ている。女子で夏でも長袖の子は何人もいるし、傷は見えない。
普段私は傷を隠す。でも、ある日一瞬だけ見られてしまったせいで、以降私はこんな扱いになった。
教師は私を事有る事に警戒して、揚句親にも知られた。
結果、私はある意味での問題児になった。
まあ、そのお陰で私は特等席の確保が出来るのだけど、
私は、リストカッターというレッテルを張られた、大澤柚緒。