「それもそうね」
エナンの提案に、リリアは小さく頷いた。
「ちょっと待った」
「?」
「リリアとこいつが一つ屋根の下に暮らすのは危険すぎる」
「…ならどこに寝泊まりしろと言うのですか?」
エナンは眉間にしわを寄せて、ダリルに尋ねた。
「俺の家の牛小屋だな」
「…却下です」
「な、何でだよ!?」
ダリルは納得いかない、といった顔でエナンに詰め寄った。
「仲間になった人を牛小屋で寝泊まりさせる気ですか?」
「…う…」
「ダリル、私は別に構わないわよ。それに契約したのは私の両親だし。責任持って、私たちが面倒を見ます」
リリアはきっぱりと言った。
「まあ…リリアがそう言うのなら」
ダリルは渋々といった感じで、主張を引っ込めた。
「と、いう訳でまずは一週間農作業を手伝って下さい。それからの事はそれが終わってからお話し致します」
「わかりました」
ザックは小さく頷いた。
「あと、一応言っておきますが、この村からはなるべく出ないで下さい。あなたはまだここにいるメンバーから完全に信頼されている訳ではありませんので」
エナンはそう言って釘を刺した。
「そうですよね」
ザックは苦笑しながら、頭を掻いた。
「よし、それじゃ今日はここまでにしておきましょうか」
リリアはにっこりと笑って、軽く手を叩いた。