〜Stliker〜哀編
西暦3776年、某月某日。季節は夏。海岸に面した地方都市にある大型旅館のある一室。和室で窓からは遥か彼方の水平線が一望できる。時間は午前7時少し前だ。
女の子『……ぇ、ねぇ!起きてよ!!綾香ったら!』
綾香と呼ばれた女の子「…う、う〜ん。…ねみぃ…。まだ寝られるじゃん、結奈…。」
結奈と呼ばれた女の子「何言ってんのよ!『明日修学旅行は海水浴の日よん!』って張り切ってたのはどこの誰よ!!最新の水着まで買ってさぁ!いいよね!彼氏いるから、余裕で。てゆうかもうすぐ朝食始まるよ。」
綾香「…あぁ、そうだった。…どっこらしょ…と。」
綾香の寝起きが余程ひどかったのだろう。結奈は思わず。
結奈「オヤジかよ…。てゆうか格好あり得ないから。」
と呟いてしまった。
綾香「てゆうかフロ入りたい!フロ!もう下の露天やってんの?」
綾香は今起きたにも関わらず近くに置いてあったフロ用具一式を手に取り、もう部屋の玄関前にいた。
結奈「やってるけど朝食まであと30分しかないから!戻って来なかったら知らないよ!」
綾香「余裕じゃん!行って来るわ!」
そう言い残し、部屋を飛び出して行った。
結奈は少しむくれていた。
綾香「う゛ぇ〜、修学旅行って楽しいっちゃ楽しいけどだるいなぁ…。」
彼女の名前は大庭綾香。高校2年の17歳。体型は普通で少しギャルな、どこにでもいる女子高生だ。今、修学旅行の最中である。彼女には付き合って半年くらいの彼氏がいる。そろそろマンネリになる頃なのかもしれない。彼女は五日間ある修学旅行の内、この3日目の『海水浴』で彼氏との関係をよりよくしようと考えていた。ちなみに同じ部屋の桜井結奈とは親友である。性格的には綾香が開放的で結奈は控え目な印象である。
綾香にとってこの修学旅行はただ楽しいだけで終わるはずだった…。
ザザァ〜…(波の音)
海岸から少し離れた沖合から陸地を睨み付けるように見る黒い影が海面から顔を覗かせる…。
…危険は迫っていた…。
続く…。