剛夫との食事を終えた義人が、一段落していると、携帯が鳴った。
哲彦からである。
「おう、お疲れさん。どうよ?剛とのミーティングは?なんとかまとまったのか?」
「まあな。9月は3人揃う方向で、なんとかなりそうだよ…。そっちこそ、どうなんだよ。今日、カフェにいた子と会ってたんだろ?楽しい時だったか?」
「…まあな」
「なんだよ。その間は。楽しそうに聞こえなかったんだけど」
「そんなことねーよ。楽しかったよ。いろいろと聞けたしな」
「ふーん…。楽しさが伝わってこないんだけどね。まあ、向こうに行った時に、彼女とも話すんだろ?」
「そりゃもちろん。楽しかったしな」
「…良かったな。俺達昔の傷を、少しずつ治すことが出来てるかもしれないなあ〜」
「そうかもしれんな。でも、その要因が、俺達が向こうで出会った人達だとしたら、きっかけを作ったお前には、感謝するよ」
「なんだよ改まって。そんなお前、お前らしくねーよ。決めただろ。お互い、新たな出会いは大切にしようって。でも自分らしさを保っていこうって。お前はいつものお前でいいよ。変にかしこまるなって…。」
哲彦は、義人のその言葉を聞き、かしこまろうとしていた自分を改めた。
「なあ…お前明日の予定は?」
「予定?…明日は早番だから、6時上がりだよ」
「その後、時間あるか?」
「特に予定もないし。あるといえばあるよ。」
「なら、話が早い。明日、7時に○○○まで来い。お前と話したいって人がある。大丈夫だよな?何にもないんだからさ」
「話したい人?誰だよ。別にかまわないけど。お前は来ないのかよ?」
「俺は、明日、別の予定がな。あと、その人、怪しくないからな。念のために言っとくけど。勧誘とかじゃないから」
「わかってるよ。俺らが、それに対して、深い傷を持ってんだから。お前の良く知ってる人だろ?どうせ」
「そうだ。まあ…ゆっくり話してくれよ」
「わかった。会うよ。じゃあ、また電話する」
「ああ。お休み」
電話を切った義人は、哲彦の言う、ある人が、哲彦が思い入れがあることが、なんとなくわかっていた。
「誰だろ?」