――ドスッ。
「ぎ、ぁあぁあぁああぁぁあッ!!」
「…フン」
断末魔を最期に、絶命した男の死体を蹴り飛ばし、少女は その死体に刺さっている刀を抜いた。
「皆神の屑が…私に勝てると思ったのか?」
その顔には、返り血が点々としていた。
西暦3166年…
人類は世界に数えるほどしか居なくなっていた。
繰り返される数多の戦争によって…。
元々日本であった島国でも、いまだにその戦争はあっていて、「皆神宗(かいしんしゅう)」「自神宗(じしんしゅう)」の2つの宗教が争っていた。
「皆神宗」は『生けし者は皆 神と同等』をもとに結束し、「自神宗」は『教祖こそが神であり、信者でない者は殺しても構わない』ことを前提においた宗教だった。
勿論、皆神宗信者の方が人数的には勝っていた。
だが、自神宗側の二人の少年少女の存在により…勢力的な均衡は保たれていたのだ。
これは、そんな中で生きる…皆神宗側のある少年の物語だ。