仕事を一通り終えた僕は、家に戻る前に、キリストの小屋に寄っていった。
キリストはいつものようにいなないて僕を向かい入れた。
「キリスト!今日は友達が出来たんだ!みんな優しくって、楽しいんだ!こんなにも時間が惜しいと思ったことは無いよ!」
僕の喜びに、キリストはまるで自分の事のように喜んでいた。
「キリストの事もみんなに紹介してもいいかい?もちろんタナーおじさんには内緒で…」
キリストは僕の言葉を理解したようで、軽く頷いた。
夜が近付くにつれて、雲行きが怪しくなり、ついに雨が降り出した。
タナーおじさんがまだ帰って来ていないので、僕はすでに作っておいた夕食を温めていた。
「この雨の中、タナーおじさんも大変だなぁ」
そう言いつつも、僕は密かに笑っていた。いつもの仕返しのつもりで。
と、次の瞬間、ドアを叩く音がした。
「タナーおじさん!」
僕はすぐにドアを開けた。
ドアが開くと、タナーおじさんが駆け込んで来た。
「夕食の準備は出来てるな?」
僕を見るなり、タナーおじさんはそう聞いた。
「は…はい!今すぐ出しします!」
僕は急いで夕食をテーブルに並べた。
並べ終えると、タナーおじさんから濡れたコートを預かった。
その時、僕は少し妙だと思った。
コートに血が付いているのだ!
僕はタナーおじさんに聞こえないくらいの声で呟いた。
「…殺人鬼バフ」