知ってるよ。
あなたの笑顔を見る度に、つらくなること。
でも、あなた知らないでしょ。
それでもあたしは、あなたの笑顔が大好きなこと。
――…??…――
『あ、ねぇ亜美ちゃん蟹座だよね!』
泉先輩が唐突に聞いてきた。
『そうですけど…』
『今日の朝の占いで見たんだけどね、蟹座の人に幸せなことがあるらしいの!』
『知ってる!あたしも同じの見てました!』
2人ではしゃいでいると、鈴木くんがあくびをしはじめた。
男の子は占いとか興味ないんだよね。
『泉先輩って何座ですか?』
聞かずともわかる気がする。
『あたし?乙女座だよ。』
やっぱり。
『ヨシは牡羊座だよね。』
『多分。』
ほんとに興味無さそう。
『そうそう、亜美ちゃんさ、来週の3連休ヒマ?』
『来週…空いてますけど…』
『ほんと!?あのさ、マネージャーの仕事手伝ってくれないかなぁ!』
マネージャーの仕事…って
『えっ?!なんで…』
『実は、3日間練習があるんだけど、さすがにあたしひとりじゃどうしようもなくて…だからおねがい!』
いきなり言われても…!
だって野球部ってことは鈴木くんがいるわけで、
あたしは鈴木くんに飲み物とか…あげたりするわけでしょ?
『む、無理ですよ!あたし何にも知らないし!』
必死で断るあたしに、鈴木くんのひとおし。
『大丈夫。泉先輩急がしかったら、俺教えられるしさ。』
そんな
そんな急に
幸せなことって…
『お友達連れてきてくれたらもっと助かるんだけど…』
ああ…のりちゃんも連れていけるなんて…!
『…どうかな?』
あたしはゆっくりうなずいて
『手伝わせてもらいます!』
と答えた。
『ありがとー!』
と言って泉先輩がだきついてきた。
鈴木くんが少し羨ましそうな顔をしてる。
幸せは 突然やってくるものです。
朝のお告げが あたしの頭でくりかえし聞こえた。
ほんと
突然すぎです。