教祖は申し訳なさそうに言った。
「君は...本当は嫌じゃないのか?」
「何が…ですか?」
教祖の言う意味がいまいち分からず、晶は首をかしげる。
「まだ15歳なのに…こんな戦争に駆り出されて…人を殺し、自分の命さえ危うい環境に放り出されるのは、やはりつらいだろう?」
うつむいて教祖は言う。
「…歳なんて関係無いですよ」
晶が口を開くと、教祖は顔をあげた。
「15歳が人を殺しても...40歳が人を殺しても...一緒なんです。怖いのだって、つらいのだって、皆同じなんです」
晶は困ったように笑い、本当は戦争が無いのが一番でしょうけどね、と付け加えた。
「…そうか、そうだな…すまない…。戦争など、私もしたくはなかった…本当に、すまない」
教祖は頭を下げた。
「きょっ、教祖様が謝らないで下さいよ!!」
晶は慌てて言った。
「俺だって、戦争が仕方ないことだって、わかってるんです!!教祖様一人で抱え込まないで下さい…」
「…そうだね。ありがとう晶君」
教祖がフッと笑ったので、晶も安心したかのように笑った。
「行ってきます、教祖様」
晶は走り去っていった。