空は曇っていた。
明日は雨が降るらしい。
戦場に着いてから、晶は未だ敵と遭遇していない。
その理由は皆神と自神それぞれの信者数の差にあった。
皆神宗信者が約900人であるのに対して、自神宗信者は約200人前後しかいない。
どちらも非常に少ない所が伺えるのはもちろん、この点を考えてみると、自神の兵士がどれ程までに屈強かが伺える。
いや、正確には水鶴と圭が強いのだろう。
彼女たちと遭遇して生き残った者など、殆どいないのだから。
――ガサッ
突然、背後から物音がした。
「!!」
晶が振り返ると、そこには機関銃を携えた自神宗信者が草陰に隠れていた。
「う、うぅ…!」
自神の兵は撃つのに躊躇している。
晶が迷いなく兵に近づくと、兵は慌てて機関銃を構え直し言った。
「く、来れば撃つ!!」
「撃てよ」
真っ直ぐ、止まることなく晶は向かっていく。
「…ッあああ!!」
意を決したように、兵は引き金をひいた。