水鶴の真っ黒な髪は背中まで伸びており、茶色の瞳は冷たく、光を灯してはいなかった。黒服の上から着ている白のアウターは、血に濡れていた。
顔にも返り血がついているが、水鶴は気にする様子もなく平然としている。
「おま、え…何、してんだよ」
「部下を殺した。それだけのことだ」
「それだけってお前ッ」
晶が突っかかる。
「黙れ。敵に馴れ馴れしく話しかけるな」
水鶴は晶の言葉を遮り、刀の切っ先を晶に向ける。
その瞬間。
「水鶴様に近づく…な」
低く、冷淡な声が聞こえた。
直後、殺気を感じる。
――スパッ!!
「いッてぇ…!!」
何かが、晶の首を狙い刃物をふるった。晶は間一髪で避け、向かってきた刃物は首の薄皮を切り裂いた。
「…誰だ お前…?」
晶の問いに、ゆらりと晶の目の前に現れた、漆黒の衣装に身を包んだ少年は答えた。
「柊。柊 圭…だ」