〜回想〜
「なんだよ、和臣。お前から誘ってくるなんて珍しい」
いつも、4人で行動する時は、まず自分からは、提案しない和臣が、珍しく義人を食事に誘った。
「いや〜、たまにはどうかな?って思ってさ…」
義人は、多少疑問を感じながらも、会うことにした。
「…で、なんか話したいことあるんだろ?お前から誘ってくるなんて珍しいからな」
義人の指摘に、和臣は驚きながらも、話しを切り出した。
「実は、あるセミナーに参加しててさあ…それ受けてから、世界が変わったんだよな〜。義人もどうかな?って思ってさ」
和臣の差し出したパンフレットを見て、義人は、愕然とした。
数年前、義人が付き合っていた女性と、別れるきっかけになった団体だからである。
「お前…何かと思えば、こんなことかよ。…ふざけてるのか?」
「ふざけてる?俺は真面目だよ。俺的にもためになったしね。…どうかな〜って思ってさ」
「あのな、2度とその話をするな。俺達の間に、そんなこと持ち込むな!…お前忘れたのかよ?俺達は、何の悪意もなくバカやれる関係でいようって」
「いや…でも」
「とにかく俺は、こんなことは、お断りだから!帰る」
吐き捨てるように言って、義人は席を立った。
和臣は、全く自分のしたことを反省しなかった。
義人は悲しくなった。
彼女ばかりか、和臣まで…
事の一部始終を、哲彦に報告した。
哲彦は、愕然とした。
「まじかよ…ショックだなあ。…そうか、剛も俺も、和から話があるって言われたけど、そのことか…」
「どう思う?」
「やりきれないな…。一度4人で話すか?」
「そうしよう」
「辛いな…。」
哲彦は、和臣の行動に裏切り感を隠せなかった。
難しいことを考えず、バカをやれるのが、4人の関係性だと思っていたから……あれ以来、4人は一度は改善したが、わだかまりは消えず、和臣は、哲彦達から離れていった。
哲彦は、あの出来事を思い出すたびに、心を痛めていた。 そして、改めて思った。
…この先の出会いに、根深い何かがなければいいと…