病院のベッドで眠る達也。病室で泣き崩れる母親。おそらくその母親を隣で支えているのは、慶太郎の父親やろう。
「嘘やろ…達也っ!!!」
テツが真っ先に駆け寄り、達也に手を伸ばす。
「たつやっ!…たつやぁ…っ!…冗談…きついって…」
その場にしゃがみこむヒロ。
目の前にいるのに、ちゃんと目に見えるのに、こいつは今、空っぽなんか?
ただの抜け殻みたいな達也の体を眺めて、何かぞっとした。近寄れなかった。
こいつは今、生きてへんの?
泣き声が響く病室の中、俺と同じように達也を眺める奴がいた。
病室の端でつっ立って、いつもと変わらない表情の慶太郎がいた。
そんな慶太郎を見た瞬間、心の中で慶太郎に向かって言うように、自分に向かって言うように、何度も繰り返した。
あいつは居なくなった。
もう一生会われへん。
終わった
いない
消えた
死んだんや
涙は止まらんかった