“ワイルド・ワン”は惜しまれながらも活動休止。
デビューの話も白紙にした。
ただ俺はまだ諦めてなんかいない。
もちろん、テツもヒロも。
道は必ずある
達也が死んですぐ、俺は家を出た。真面目に通っていた大学も辞めた。
父さんや母さんは、こんな危なっかしい道よりもっとまともな道に進んで欲しかったらしいけど
20過ぎてまで何してるんやろって思うけど
達也が見てた夢を簡単に終らす訳にはいかへん。
それに、ただひたすらまっすぐに夢を目指す慶太郎を見てたら、俺が諦めるわけにはいかへんやろ。
達也があいつに見せた夢、やっぱり叶わないなんて、あいつに教えるわけにはいかへんやろ。
達也の言葉をまっすぐに信じてるあいつの信念を壊すわけにはいかへん。
――「慶太郎、最近ドラムはどうや?」
「うん、絶好調」
「相変わらず自信満々やな」
「当たり前」
どんどん上手くなる慶太郎を見るたび、何度も自分の胸に確認する。
俺は夢を叶える
この先の自分に、後悔なんてさせないために。
だから、今はまだ無理やけど、いつか俺が夢を叶えるその日まで
またな、“ワイルド・ワン”