alone 16=昔話(side晶?)=

兼古 朝知  2010-03-27投稿
閲覧数[372] 良い投票[0] 悪い投票[0]



その日は雨が降っていた。

戦いから帰ってきたのは、左胸と首からおびただしい量の血を流し、冷たくなった兄の死体だった。

「にーちゃん」

晶が呼びかけても…。
返事は 無い。

「にー、ちゃん…」

晶が晴一の首に触れた。
晶の手に、冷たい血がベッタリついた。しかしそれは雨によって洗い流され、消えていった。

「にぃちゃんッ…!!」

「晶君…」

教祖が晶に触れようとした時だった。

「しなね、って…」

「…晶君?」

「死なねーって言ったじゃんか!!バカ兄、バカ兄、バカ兄ぃぃぃぃ!!」

晶が叫んだ。
降る雨は一層強まり、晶の叫びは雨の音に消されていった。

「うわあぁあぁぁあああぁあぁぁあ!!わあぁあああぁあ!!」

降りしきる雨の中…
晶は ただ、泣き叫んだ。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 兼古 朝知 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ