次の日、僕はさとばばちゃん家に向かった。
ドキドキしていた。
「おはよう!さとばばちゃん」
「おぅ〜瑠海か?朝飯食うたかい?」
「うん。昨日、じっちゃん肉が入ったカレー作ってくれたから」
「あぁ、そりゃ良かったなぁ。」
さとばばちゃんは、麦茶を入れて持ってきてくれた。
「瑠海、じっちゃん何か言ってたか?」
「さとばばちゃんの話を聴いてから清海に逢いたくなったら、診療所来いって。」
さとばばちゃんは、しばらく黙ってお茶を飲んでいた。
「瑠海、お前は、この島で産まれたんだよ。
12年前、清海ちゃんは、大きなお腹をしてこの島に突然戻って来たんだよ。みんな、驚いてなぁー。」
「さとばばちゃん!帰って来たって…?」
「あぁ、そうだね。そこから話さないといけないねぇ。清海ちゃん本島の高校から大学行ってなぁー。
先生になってこの島さ戻って来たんだ…。
半年たって、本島から転校生が来てなぁ、なんだ…?あの〜喘息とかいうので空気の良い島さ来たんだと。
清海ちゃん…。
その子の父親と仲良くなってしまって、こん小さい島じゃ居られんと思ったんじゃろ、そん父親ばと夜逃げしちゃったんだわ。
じっちゃん、そん家族ば頭すりきれるほど頭下げてなぁー。」
僕は、かあちゃんの話をされているのに、実感がなかったんだ…。
それより、じっちゃんが可哀想になって。
「その子の家族は?」
「二つ隣の学校さまた転校して行った。
しばらくして、清海ちゃんと夜逃げばしたその子の父親が…事故で死んだとば話が入ってきたが、清海ちゃんは…戻らんかった。
なかば、勘当じゃ。
それから2年して、大きなお腹して戻って来たんだょ。
清海ちゃんじっちゃんとばっちゃんに頭下げて、こん島で産ませてくれって。
あの診療所でお前は、産まれた。瑠海って名前は、じっちゃんがつけたんじゃ。
知ってるだろ?」
「うん。」
「じっちゃんは、父親は、誰なのか?聴いても清海ちゃんそれだけは中々言わんでな。
お前の1歳の誕生日にプレゼントさ買うって本島さ行ってそのまま戻らんかった。
清海ちゃん2度もじっちゃん達を裏切ってしまったんじゃ。
そう、一番可哀想のは、お前だょ瑠海。
お前んかあちゃんは、瑠海お前を棄てたんだょ。」
訳がわからなかった。
僕は、悲しくなかった…。
でも…じっちゃんがとっても可哀想で仕方がなかった。