野ねずみ坊やが苺と一緒に落下してきたポッキーを使って苺をテコの原理に基づき父さんの上から転がし退けると苺の果汁が白いディッシュの上に赤い筋を描きます。
ようやく解放された野ねずみ父さんは大きく息をつくと野ねずみ母さん達に言いました。
「この家も大分かじってきたけれど、もうかなり危ないな
ところで労災はおりるだろうか?」
「さあ?エコポイントでも調べてみますか?」
「おとーさん、怪我しなかった?」
野ねずみ坊やが心配そうに尋ねます。
「ああ、坊や大丈夫だよ。ありがとう」
野ねずみ父さんは坊やの耳の間をぽんぽんと撫でました。
「パンケーキは住めるし食べられるから、お得かと思ったけど…やっぱりどこか木のウロにでも引っ越した方が良いかしら?」
野ねずみ母さんが頬に手を添え首を傾げて言いました。
「僕、桜の木が良いな!初夏にはさくらんぼが食べれるものっ」
「あら、それなら梅の木も良いわ。花も実もとても香りが良いのだから」
などとたった今苺が落下した驚きも忘れて軒下で話しこむ野ねずみ母さんと野ねずみ坊やに野ねずみ父さんは言いました。
「これこれ、そういう話は軽率にしてはいけないよ。よくよく調べてからでなければ」
野ねずみ母さんと野ねずみ坊やは、それはもっともだと頷いて立ち上がった野ねずみ父さんに続いて立ち上がり、カバンを拾って渡してあげました。
「そうねぇ、じゃあ、おばあちゃんやご近所の方達にいろいろ聞いてみるわ」
「じゃ、僕は学校のパソコンでネット使って調べてみるよ!」
野ねずみ坊やが元気良く言うのに、野ねずみ父さんと野ねずみ母さんがクスクス笑ってきき返します。
「インターネットが使えるからって、書いてあることが解るのかい?」
「むー…その辺はコピペで対応します…」
「コピペ…?」
「コピー&ペースト」
「コピーなんかしたら経費がかかってしまうじゃないの」
「そうだぞ、母さんの言うとおりだ。資源は大切にしなさい」
「んーと…デジタルだから、紙は使わないよ。データだけ持って帰るからさ…」
と、いまいち噛み合わない会話をしつつ、野ねずみ父さんは出かけて行き、野ねずみ母さんと坊やはパンケーキの中に戻って行きました。