僕は、さとばばちゃんの話を聴いて…。
(お前は棄てられたんだ…。)
診療所には、行かなかったんだ。
そりゃあ、学校の友達は、綺麗なお母さんや元気なお母さんが羨ましかった。なんで、僕にはお母さんがいないのか、じっちゃんに何度か聞いたんだ。
じっちゃん…。「ごめんな…」って寂しそうな顔するんだ。
僕には、じっちゃんがいる!!
だから…もう聞かないって決めたんだ。
なのに…。
かあちゃん現れちゃった。
僕は、ショールに会いにいった。
「ピ〜!ショール!」
「…」
「ピ〜!ショール!ショール!どこ?」
「…」
いくら呼んでもショールは、返事をしてくれなかった。
僕は、陽がくれるまで呼んだけど、ショールは、戻って来なかったんだ。
こんなこと初めてだった。
「じっちゃん…。ショール大丈夫かな?怪我して動けないのかな?ねぇ?」
「大丈夫じゃろ。それに、瑠海、いつまでもショールと一緒にはいられんぞ。ショールは、イルカじゃ。イルカにはイルカの世界がある。ずっと、お前が一緒にいたいって側においていたら、ショールは独りぼっちで死ななきゃならん。」
「じっちゃんのばか!ショールは、僕と一緒なのさ。ショールも僕も親に棄てられたのさ!じっちゃんなんか大嫌いだ!!」
僕は、家を飛び出した。
行き先は、さとばばちゃん家しかないんだけど。
その日、さとばばちゃんは、
じっちゃんに電話をしてくれてしばらく、さとばばちゃん家に泊まる事になった。
次の日、朝早く海に走っていった。
「ピ〜!ショールショール!」
「…」
「ピ〜!ピ〜!ショール!」
「クウィ〜クウィ!」
「ショール!何処に行ってたのさ。心配したんだ…よ…。」
ショールは、僕の話の途中で沖に向かって泳いで行った。
そこには、数頭のイルカ達がいた。
数分してショールが戻ってきた。
「ショール!友達かい?でもね、僕を独りぼっちにしないでくれょ」
ショールは、そんなことお構い無しで遊んでと迫るだけだった。
次の日学校の昼休みに電話が入った。
「瑠海!さとばばちゃん家から電話だそ」
「は〜い。先生」
「どうしたの?さとばばちゃん。」
「瑠海!すぐに帰って来い!じっちゃんが倒れた。頭さ打ったから本島の大きい病院ささっき運ばれた。」
「えっ!…」
「知り合いが船さ出してくれるから、直ぐに行くぞ」
僕は、走って港に向かった。