チンゲンサイ。<34>

麻呂  2010-03-31投稿
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『はい。お待ちどうさま!!』



店主は、俺達が注文した品をテーブルへ置くと、


眠そうな目をして、次の客の対応をしていた。



『ユウ。冷めないうちに食べなさい。

ギョーザは、6個あるうちの1個を父さんにくれ。』



『そう言えば親父‥‥金、大丈夫?!

さっきのタクシー代とかも、何であんの?!

財布の中身全部、盗られちゃったじゃん?!』



キョトンとした顔で俺の顔を見つめるユウの、その表情を見て、


なぜか少し、ホッとした。


まだまだ子供だなと思った。



『おぅ。任せとけ。
父さんな、昔、カツシンのファンだったんだ。』



『は?!何ソレ?!』



『パンツの中に、1万円札隠してたんだよ。』



『え?!マジで?!
汚ねーじゃん!!』


『汚い言うな!!

おかげでラーメン食えたんだから!!』


『汚ねーもんは汚ねーよッッ!!』



パンツの中の1万円札の話に、かなり動揺していたユウだったが、


こうして親子、男同士で飯を食いに来たのが、


おそらく初めてだっただけに、


俺には、この時間が、すごく幸せなひとときとなったのだった。

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