「…圭。…柊 圭」
晶は水鶴の背中越しに、圭を呼んだ。
「何…だ?」
低く、掠れた声で圭が返事をする。
「お前のその腕は…どうして…?」
晶は圭の左手の鎌のことを言っていた。
その瞬間、晶を背負う水鶴の体が少し強ばった。
「お前には関係の無いこと…だ」
「ははッ…。言うと思ったけどな」
晶はそれ以上追求しなかった。
水鶴の体が強ばったのに気づいたからだ。
言いたくない経緯(いきさつ)がある。それだけわかれば十分だった。