赤、青、緑、黄、桃で構成された5人組のヒーローたちがいた。
彼らは長い間、街の平和を守ってきた。
それゆえ、子どもたちの憧れの的であった。
しかしそんな彼らに、今までにない最大の危機が迫っていた。
5人のヒーローたちは口々に言った。
「お願いです。俺たちは反省しています」
「僕たち5人の運命は、あなた1人にかかっているのですよ」
「俺らに力を貸して下さい」
「あなたがここで頑張ってくれないと、わたしたち…」
「とにかく、あなた1人だけが頼りなのです」
それらの言葉に、返答はない。
ヒーローたちは必死に続ける。
「俺たちが今までやってこられたのは、あなた方のおかげです。でも、今やあなた1人しか残っておられない…」
「あなたは僕たち5人にとって、必要な存在なのですよ」
「俺らは今まで通りやっていきたいんです」
「力を貸して下さい。そうでないと…」
「そうでないと、わたしたちの存在価値は、たちまち消えてしまうのです」
そしてついに、最後の悪者の口から声が発せられた。
「キーッ!キキキキーッ!キッキーッ!」
それからどこかへ走り去って行った…。
その後、街のいたる所から、絶滅寸前だった悪者たちが出現し始めた。
大規模で強力な、悪の組織まで結成されたという。
5人のヒーローたちは、あの1人の悪者の努力に感謝した。
そして今日も、子どもたちの見守る中で、大勢の悪者を前に、彼らはいつものようにどこへともなく決めゼリフを言い放つのだった。
「この世に悪がある限り、俺たち5人は絶対不滅だ!!」