吉田太郎物語

もぐら  2010-04-01投稿
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『ジャラジャラ…チャンチャラチャンチャ〜…本日7日はラッキーイベント!全台大解放いたします!…』

ピッ、ピッ、ピッ…
なにが大解放だ、俺の財布の中身の事か?…
ウィーン。騒音とも言える機械音やアナウンスを
背にして、心の中で精一杯の皮肉を呟いた。



カンカンカンッ、鉄製のサビだらけの階段を小気味よく駆け上がり、コンビニで買ったコーラがぬるくならないうちにと急いで部屋の鍵を開けた。

プシュッ!はぁ…、炭酸とため息が同時にもれる。少しぬるくなったコーラを飲みながらポケットに入れたくしゃくしゃのマイルドセブンを一本取り出し火をつけた。

もう二週間か…なにやってんだろ俺は…。
ピッ。メール受信はありません。彼女とツーショットの待受画面は更に気分を落ち込ませてくれる。



二週間前、働き先の店の先輩をぶん殴った。理由は色々とあるんだが、先に手をだした方が悪いのが社会のルールだ、うん。
ほかの先輩方や後輩からも引き止めはされたが辞めた事にたいして悔いはない!

二週間前、上京してから五年間付き合っていた彼女に別れてと言われた。別れてと言われたら別れるのが男女のルールだ、うん。悔いは、、ない。


…「あるにきまってんじゃねーか、おいっ!!」
「俺の人生悔いだらけだよ!なんで!?」
太郎は六畳一間の部屋でのりつっこみをしながら発狂した。

ドン!ドン!隣の部屋から壁をたたく黙れの信号で我を取り戻した。

すいません…。小声であやまるとそのままどさっとベッドに倒れこんだ。

もう…疲れたな。ぽつりと言った言葉がいつまでも頭のなかを反響し、いつのまにかコーラの水滴が畳にシミをつくっていた。




二日目に続く。



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