そこへ騒ぎを聞きつけた皆神側の男が、銃を携えて現れた。
「!! 中村に柊だな!?」
男が銃を構えた時。
「我々に害意は…無い!!この中で最も医療の知識をつけている者を…出せ!!お前たちの仲間、山口晶が重傷…だ!!」
喋り方は相変わらずではあるものの、圭が声を張り上げ、水鶴をかばい前に出る。
「晶…?背中のコは晶君なのか…!?」
「このままだと死ぬ…ぞ!早く…しろ!!」
圭はギロリと銃を構えた男を睨んだ。水鶴は黙って晶を背負っている。
「ゆ…夕ちゃんは いないのか!?」
「夕ちゃんは沢井さんとこ行っちまったよ!!」
ざわざわと騒ぎだす皆神の信者たち。
「くそッ、じゃあ福野さんを呼べッ!!」
程なくして福野と呼ばれる中年の女が白い救急箱を片手に現れた。
「中村水鶴…晶君をこっちに頂戴?」
「あぁ…」
少し臆しながら、福野は殆ど意識の無い晶を受け取った。