僕はその差し出されたビール瓶を力無く受け取った。半分程残ったその黄色い、炭酸水を一気に飲み干す。ユイコは満足そうな笑みを浮かべている。
僕は喉が渇いていたのだ。からからに。慣れない大声を出したからか?それともこの状態に対する緊張が、僕を渇かせていたのか。
挑発的な目で見つめるユイコを無視して、冷蔵庫からウィスキーの小瓶を出して、そのまま口をつける。
酔ってしまいたかった。
酔って、眠って、目が覚めたら少しでもマシな状況になってるんではないか。
そういう甘えが生まれた。
ユイコはそんな僕の考えを見透かすように、声を出して笑った。
「あはは………っ、やけ酒?…………いいのかな〜そんなに呑んで。手元狂っちゃわない?」
「ねぇ、私の願いは簡単よ。貴方の、その胸ポケットに入ってる黒い、冷たいもので撃って欲しい。ただそれだけ。なんでそんなに苦しそうなの。」
僕はその声を聞かないように、ウィスキーを煽る。
「何とか言いなさいよ。」
喉が熱い。元々僕は、酒が強くない。一気に流し込んだアルコールのせいで、少しむせた。
その滑稽な姿がそんなに面白いのか、ユイコはまた大声で笑った。
嘲笑ではなく、透き通るガラスのようなそんな声で、カラカラと笑った。