GO AWAY#27

速見  2010-04-02投稿
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あの事件は………と、僕が思い出そうとしたときだった。

「おっそうだ!お前にこれを見せるのを忘れるとこだった」

と、先輩は僕に運転をしながら胸ポケットから写真を取り出した。その写真は家族写真で父親と、母親がバーベキューをしている最中なのかトングをもって中央には例の女子高生が写っていた。

「これは?」

僕が先輩に訪ねると

「お前も資料で例の子の写真を見ていただろうが現場に行く前に最近の写真を見ておけ。偶然見つけるかもしれないからな」

と、先輩は説明をしてくれた。僕は写真をもう一度見ることにした。写真に写っている彼女は満面の笑みでカメラに向かって笑いかけていた。この写真を見る限りではとてもじゃないが人を殺すような人には見えない。

しかし、刑事に先入観は禁物だ。人間の中身なんて見た目でわかるものじゃない。資料によれば彼女は成績優秀で知立高校を代表できる人物だと聞いた。なぜ彼女は人を殺したのだろうか?彼女は来月には学校の代表としてスピーチコンテストに出ると書いてあった。人を殺す動機があっても何故今殺したのだろうか?衝動的とも考えられるが資料を見た限り彼女はかなりの秀才だ。そんなヘマをやるとは到底思えない。疑問がいくつか湧いてきた頃に僕らは現場に到着した。


現場に到着した僕らの仕事は現場の再検証である。昨夜と今朝に懸賞は行われていたがまだ見落としがあるかも知れないからだ。現場は知立市の唯一の繁華街の路地裏だ。しかし、いくら繁華街とはいえ、ここ新台市ではもともとあまり大きな市ともいえないので繁華街といえ路地裏に行けば人通りは全くなくなる。確かに人を殺すのにはうってつけの場所かもしれない。現場に入ろうとするとよくあるKEEP OUTのテープが張られてさらに奥にはビニールシートが張られていた。

この事件は異例中の異例の未成年の指名手配だ。マスコミの対策はしっかりとしないといけない。テープ内に入る前に地元警察がマスコミを必死になって抑えている姿を見て本庁でよかったと、痛感した僕だった。僕も一歩間違えればあっちにいたかもしれないしね。

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