「一本!!それまで」
審判の声が鳴り響く。
と同時に会場中に歓声がとんだ。
定位置に戻り、礼をすませる。
両校整列し、審判の手が本山高校に上がる。
ポイント2-2。
うち、本山一本勝ち2、翔星1による優勢勝ち。
礼と同時に会場中に拍手が鳴り響いた。
まだベスト4を決める試合だったにも関わらず、その拍手の大きさは決勝戦を思わせるほどだ。
そんなことを考えていたときに不意に頭を叩かれた。
「コノヤロー。やりやがったよ!!ほんとに勝っちまった!!」
慶吾が笑いながら首を抱え込んできた。
「ほんとすごいよ。やっぱ修二は最高だ!!」
悠が背中を叩いてくる。
「修二ならやると思ってた。」
賢之助もうれしさをかくせないようだ。
「お前ら浮かれすぎだ。まだ試合残ってんだぞ!!」
気を引き締めるために言った。
相葉先生が一瞬キョトンとした。
あれ?なんか変なこと言ったか?
相葉先生までが笑い出した。
「修二くん。か、鏡見てきてごらんよ。」
相葉先生が笑いをこらえながら言った。
それに合わせるように全員が言った。
「部長が一番浮かれた顔をしてるよ!!」
他の試合はまだ終わっていない。
自分たちの試合もまだ残っている。
会場にある大きな扉から風が入ってくる。
汗をかいてるせいか、とても気持ちの良い風だった。修二は今までに一番の風だと思った。