alone 29=すまないな=

兼古 朝知  2010-04-03投稿
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自神の陣に戻ってから、水鶴は自室にて ずっと呆けていた。

「水鶴様…」

「一人にしてくれるか?…柊」

「了解しまし…た」

自身の心配を無下にされたことを一切気にかけず、圭は低頭し部屋を去ろうとした。

「柊…」

ふいに水鶴に声をかけられ、圭は振り返る。

「はい?」

「すまないな…気にかけてくれるのに」

「…!!」

圭は驚いた。
感謝の意も謝罪の意も、普段 発することの滅多に無い水鶴が、部下である己に「すまない」と言ったのだから。

「俺に謝らないで下さ…い。俺はただの…手下。あなたの…下僕」

「…あぁ、わかっている」

「…では失礼しま…す」

圭は去った。
同時に、水鶴は自室のベッドに倒れ込むようにして、仰向けに寝転がった。

「何故だ…」

消え入りそうな小さな声で、水鶴は呟いた。

「何故…お前は私の心を読むような言葉ばかり投げかけるんだ、晶…」



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